A:猛者の霊魂 ファイナルフレイム
帝国軍相手に奮戦し、壮絶な最後を迎えた「フェランド闘軍曹」。その魂は、今も北ザナラーンに留まっているというわ。
嘘か誠かは解らないけど、彼の最後の執念が怨霊となって地上に留まり、人々を襲っているみたい。
~モブハンター談
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ショートショートエオルゼア冒険譚
「そんなことある訳ないじゃない!」
あたしは受注カウンターを両手で叩いて声を上げた。
「討伐報告してるでしょ?読んでる?」
普段は感情的になるあたしを嗜める役目の相方も流石に声を荒らげた。
北ザナラーンのラウバーン緩衝地でフェランド闘軍曹を倒したのはそんなに昔の話では無い。フェランドは同じ部隊にいた唯一の肉親である弟を自分の判断ミスで守れなかった事を悔いて古戦場をさまよっていたのだ。現地案内をしてくれた男が実はフェランドの弟で、弟が生きていた事が分かったフェランドはあたし達の目の前で間違いなく消滅した。
その事はフェランドが纏っていたローブを証拠として、詳細に報告してある。
「特に君たちの報告はちゃんと読んでいるし、別にそれを信じていな訳じゃない」
モブハン担当官は言った。
「あくまで手配書には現地から上がってきている話が書いてあるだけなんだ。現地ではそういう噂になっているという話だよ。」
この担当官とはもう長い付き合いだし、死灰のアルビンを倒す時には共に旅もしている。恐らくは勝手知ったるあたし達の反応を予測していたのだろう。ララフェル用の座面の高い椅子に座ったままカウンター越しに冷静に言った。
手配書にはラウバーン緩衝地に新たに出現し始めた「ファイナルフレイム」なるAランクのモブの情報が書かれていたが、その「ファイナルフレイム」は未だ恨みを遺すフェランド闘軍曹の霊魂が人を襲っていると書いてあるのだ。あたし達、特に剣士として共感する部分の多かった相方には納得できる話ではなかった。
フェランドは戦い好きの狂戦士ではない。生前は部下と部隊をこよなく愛し、祖国ウルダハのため命を懸け、死してなお弟を守れなかったことを悔やむ、情に厚く情け深い誇り高い軍人だ。彼の名誉を回復する意味もあって詳細な報告を上げたつもりだった。なのに、いつまでフェランドは名前を汚されなければならないのか。
「僕も軍人だから納得がいかない事はよくわかるよ。だけど人の口には戸は建てられないし、下手に打ち消せば逆張りしてやっぱりそうなんだという話にもなりかねない。結局、噂を打ち消すには噂の根源であるファイナルフレイムを倒してしまうしかない」
担当官はそういってあたし達の目をみた。
「それにこの依頼とは別にファイナルフレイム討伐の依頼がきてるんだが、君たちをご指名なんだ」
あたしは相方と顔を見合わせた。
「どういうこと?ご指名って…」
担当官はそういうと書類をペラペラとめくった。
「依頼主は現地案内することを希望している」
あたし達はあっと声を上げた。
ララフェルの担当官はあたし達に視線を戻して言った。
「依頼主はフェランドの弟さんだよ」